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摩擦力のマッピング

水平力顕微鏡

NXシリーズのLFM(Lateral Force Microscopy)の原理は、コンタクトAFMと非常によく似ています。コンタクトAFMでは、 試料の表面情報を得るためにカンチレバーの垂直方向のたわみを測定しますが、LFMではカンチレバーの水平方向のたわみを測定します。 カンチレバーの横方向のたわみは、カンチレバーが試料表面を水平に移動するときにかかる力の結果であり、このたわみの大きさは、摩擦係数、 試料表面のトポグラフィー、カンチレバーの移動方向、カンチレバーの横方向のバネ定数によって決まります。 NXシリーズの横方向の力顕微鏡は、表面が不均質な化合物で構成されている試料の研究に非常に有効です。NXシリーズの水平力顕微鏡は、 表面が不均一な化合物で構成されている試料の研究に非常に役立ちます。また、試料表面の急激に変化する斜面の端や、 異なる化合物の境界でコントラストを高めるためにも使用されます。

NXシリーズのLFMでは、カンチレバーの水平方向の動きと垂直方向の動きを測定して、 プローブチップとサンプルの表面摩擦を定量的に示すことができるため、 図1に示すように、4つのドメイン(クワッドセル)からなるPSPD(position sensitive photo detector)を使用しています。 一般にAFMでは、試料表面の形状を測定するために、4つのセルからなるPSPDの「バイセル」信号、通称「A-B」信号が用いられます。 この信号は、図1に示すように、4分割されたPSPDの上側のセル(A+C)と下側のセル(B+D)の差に関連しています。

トポグラフィー情報 = (A+C)-(B+D)

 

試料表面の表面摩擦の変化に関連するLFM信号は、カンチレバーの水平方向のたわみを測定し、右のセル(A+B)と左のセル(C+D)に記録された 信号の差として表すことができます。

摩擦力の情報 = (A+B) – (C+D)

 Lateral-Force-Microscopy-LFM-f1

図1.(上)AFMのPSPD,(下)LFM

Lateral-Force-Microscopy-LFM-f2

 

図2. カンチレバーのAFMおよび水平方向の偏向信号

図2(a)は、中央に段差があり、その両側に低くて滑らかな部分がある表面構造を示しています。 左側の平らな部分には、比較的摩擦係数の高い領域があります。プロファイルbは、カンチレバーが左から右へ走査する際に、 トポグラフィーの特徴や異なる摩擦係数に遭遇したときのカンチレバーのたわみを示しています。 プロファイルcは、表面のトポグラフィーと構造のAFM像で、水平方向のたわみを含まないカンチレバーの垂直方向のたわみの変化で表されています。 プロファイルdとプロファイルeは、カンチレバーの水平方向のたわみを示すLFM信号を示しています。 左から右にスキャンする場合、突然のピークの表面構造は、カンチレバーを瞬間的に右にねじります。 その結果、図2(d)の③地点のように、凸型の横方向の力信号が得られます。反対に、プローブが急激な下降段差に遭遇した場合は、④のようになります。

点①と点②の間の領域は、試料表面において、周囲に比べて表面摩擦係数の高い物質が存在する領域を示しています。 点①と点②の間の領域は、試料表面に周囲に比べて表面摩擦係数の高い物質が存在する領域を示していますが、トポグラフィー信号を利用してこの領域を 区別できるような特徴はありません。ポイント①とポイント②ではトポグラフィー情報が同じでも、LFM信号では顕著な違いが見られます。 カンチレバーがこの領域を左から右にスキャンするとき、相対的な摩擦が大きくなると、カンチレバーが右に傾き、LFM信号が増加します。

図2(e)は、スキャン方向を逆にしたときのLFM信号を示しています。カンチレバーが矢印の方向にスキャンした場合、 試料表面のトポグラフィーに関係する点③と点④のLFM信号には変化がありません。しかし、スキャン方向を逆にすると、 点①と点②の間の摩擦係数が大きい部分でカンチレバーが左に傾き、この部分のLFM信号が減少します。

LFMの測定結果には、表面の摩擦とトポグラフィーの両方の情報が含まれています。そのため、LFM測定結果を解析する際には、 トポグラフィー像との比較により、摩擦係数の違いによる情報と、試料表面のトポグラフィーの変化による情報を区別する必要があります。 図3は、人間の髪の毛の(a)AFMトポグラフィーと(b)LFM画像(スキャンサイズ20μm)です。図3(b)では、 ケラチンタンパク質の摩擦面積の違いをはっきりと観察することができます。

Lateral-Force-Microscopy-LFM-f3

図3. (a)人間の髪の毛のトポグラフィーと(b)LFM像。(スキャンサイズ20μm)

 

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